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温暖地でつくる日本の家..その④

■最近の二つのそらどまの家の事例を...

 もうひとつは、いいのやの家でご夫婦の終の棲家です。浜松駅から北西に車で1時間ほどの、南には田んぼが広がる高台に位置します。気候条件はほとんど変わりませんが市街地より少し気温が低いというところです。いいのやの家は、かぼちゃ束の方形架構を並べた25帖の無中空間が木造架構の力強さと美しさを感じられる平屋の住まいです。

 屋根はGL鋼板横葺き。外壁はそとん壁塗りで、屋根外壁ともに「断熱+遮熱+二重通気」で、断熱材はセルロースファイバー。開口部はアルミサッシ&普通PG+紙貼り障子またはハニカムサーモスクリーン、日射遮蔽にブラインドシャッター。床はケヤキ板張り、壁は漆喰塗り、天井は和紙張りと杉板張りの内装仕上げ。

 そらどま換気システム(屋根仕上げ材の下から給気しています)+第三種換気。暖房をペレットストーブ、そして冷暖房はパッシブエアコンで全館冷暖房しています。給湯は太陽熱温水器&ガス給湯器という仕様です。

 温熱性能は、Q値が2.16、ηA値が0.8となっています(どちらも遮熱と日射取得を考慮した数値です)。
 室温シミュレーションでは、冬季の居間で15℃を下まわることはありませんが、夏期のには30℃を少し上まわりそうです(シミュレーションは、冬は障子やハニカムスクリーンを開け積極的に日射を取り込み、朝方3時間程度ペレットストーブにて暖房する。夜は障子とハニカムスクリーンを閉め断熱する。もちろん外部のブラインドシャッターも閉める。夏は室温≧外気温の時は窓を開け、その他は締め切る。昼前くらいからパッシブエアコンにて夕方まで冷房する。朝日と夕日はブラインドシャッターにて積極的に日射遮蔽する)。

 エネルギー消費量は、静岡市二人家族の標準エネルギー消費量(合計):63,039MJ≦96,129MJ(152%)であり個別暖冷房(67,218MJ(106%))と比べるとやはり大きなエネルギーを使うことになりますね。電気使用量でみてみると:4,537KW≦ 6,880KW(151%)であり個別暖冷房(3,843KW(84%))との差は同じですが、二期工事にて、隣地果樹園に太陽光発電とV2Hを組み合わせて電気の自給自足をすると、▲14,000MJ(合計で130%)、▲3,892KW(電気で65%)の削減が可能になるというシミュレーション結果です。

 こちらもお住まいになってからまだひと月たらずですが、「すごく使いやすくて気持ちがよく、初日からよく眠れるし、洗濯物がよく乾くんだよね..」と高評価です。温湿度データをみると、室温が26.4~27.2℃、湿度が67~68%と一日中安定しているようです。やはり通気と透湿する壁とそらどま換気システムの効果といったところでしょうか。また自然素材や木の木目、職人さんの手作業が自然界の1/fゆらぎと共鳴しているのかもしれませんね...

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       左上から時計回りに客間、寝室&ロフト、かぼちゃ束方形架構が見える居間、寝室

 

■最後に

 住まいづくりはこれからも高度化し、進化し変化していくことと思います。性能は高い方が、暮らしは便利な方が良いに越したことはありませんが、その結果が本末転倒..ってなことにならないように、絶妙なバランスをとることがすごく大切なことだと思っています。つくり手の考え方やつくり方、そして住まい手の暮らし方で性能数値以上の暮らしが実現できそうな気がしています。 「自然とともに無理なく自然に.. 小さなエネルギーで豊かに暮らせる住まい..」が私にとってのこれからのエコ住宅かなぁ...




  

温暖地でつくる日本の家..その③

■最近の二つのそらどまの家の事例を...
 そんな想いから最近手掛けた住まいを二つほど、エコ住宅ということですので温熱環境を中心に紹介させていただきますね。

ひとつ目は『ありたま南町の家』

 ありたま南町の家は二世帯住宅。浜松駅から北へ車で30分ほどの周囲には田畑が広がる150坪の敷地に、18坪の平屋部分と36坪の二階建て部分の子世帯がつながる施工面積70坪ほどの在来軸組工法の住まいです。
 
 屋根はGL鋼板横葺きで子世帯の大屋根には太陽光パネル10Kwをのせています。外壁は親世帯が焼き杉板張り、子世帯は2階がGL鋼板スパンドレル張り、1階が杉板張り一部塗り壁で、屋根外壁ともに「断熱+遮熱+二重通気」。断熱材パーフェクトバリアに可変透湿気密シート張り。開口部はアルミサッシ&普通PG+紙貼り障子またはハニカムサーモスクリーン、日射遮蔽にルーバー雨戸または葦簀・すだれ。床は天竜杉板、壁と天井は珪藻土の壁紙貼りの内装仕上げ。

 子世帯はそらどま換気システム(太陽光パネルの下から給気しています)、親世帯はカウンターアローファンにて室内空気循環しながら第三種換気しています。子世帯は暖房をペレットストーブ、冷房はエアコン。親世帯は床置きエアコンを半埋込して暖冷房。給湯は子世帯がエコキュート、親世帯は太陽熱温水器&ガス給湯器という仕様です。

 温熱性能は、Q値が2.46(子世帯)、2.36(親世帯)、ηA値が1.0(子世帯)、0.9(親世帯)
となっています(どちらも遮熱と日射取得を考慮した数値です)。
 室温シミュレーションでは、冬季の居間、茶の間で15℃を下まわることはありませんが、夏期の寝室では30℃を少し超えてしまいそうです(シミュレーションは、冬は障子を開け日射を取り込み、朝方3時間程度暖房する。夜は障子又はハニカムスクリーンを閉め、雨戸も閉める。夏は室温≧外気温の時は窓を開け、その他は締め切る。昼前くらいからエアコンにて夕方まで冷房する。すだれと雨戸にて積極的に日射遮蔽する)。

 エネルギー消費量は、子世帯が静岡市二人家族の標準エネルギー消費量(合計):63,039MJ≧62,881MJ(99%)▲18,668MJ(太陽光発電による削減量)で標準家庭の70%、電気使用量でみてみると:4,537KW≦5,711KW(126%)▲5,189KW(太陽光発電による削減量)で標準家庭の12%。親世帯が静岡市二人家族の標準エネルギー消費量(合計):63,039MJ≧41,356MJ(65%)、電気使用量でみてみると:4,537KW≧3,288KW(72%)というシミュレーション結果です。


 今年6月に竣工し暮らし始めたばかりで、夏期の温湿度データしかありませんが居間の室温は一日中27℃~29℃、湿度は65~75%と安定しており、2階の寝室でも自然室温で30℃を超えることはほとんどないようでシミュレーション結果より良い環境の住まいとなっているようです。住まい手さんも日射を入れないとか湿気の多い日は窓を開けないとか..暮らしの工夫をしながら、住まい手さんなりの快適を模索しながら生活していただいているようです。

    Photo_57 南からの眺め..

    Photo_58 東からの眺め..



 

 

温暖地でつくる日本の家..その②

■温暖地のエコ住宅を目指して

 エコとは、エコロジー(環境)とエコノミー(経済)がつながっていて、どちらか一方だけが発展してしてもうまくいかない。環境問題を世界中で解決していくことで世界の経済も発展し、人々が安全で豊かな生活を送れるようにと思いをこめて「エコ」という言葉が使われている..ということだと聞いたことがあります。

 住まいも同様で、つくり手は住まいの三大性能と言われる、1構造の安定、2暖涼(明るさや風通し)、3長寿命、それに加えて省エネのこと、建物の美しさや使いやすさ、そして建設コストなどなど多くのことを満足させなければいけません。

 当たり前のことですが、構造強度が高ければどんなにコストがかかっても良いこともなく、高気密高断熱なら美しく無くても良いことはなく、いくら美しくても劣化要素が多くて寿命が短くてはいけないですよねぇ..でも私たちつくり手がどれかに専門特化してしまうとどうしてもこんな傾向が出てきてしまうというのが正直なところです。とくにエコ住宅というと断熱気密性能と省エネ性能に特化してしまう傾向があるのかなぁ...

 そんなことから、その土地の地形や気候条件と住まい手の環境と共存しながら、さまざまな要素のバランスをとることを大切にして住まいづくりをすすめています。加えて建物の性能や暮らしを考えるとき、何か単独の要素で作り上げるのではなく、いくつかの要素が重なって求める性能や暮らしが出来上がるということも大切なことですね。

■具体的に...

 たとえば断熱を考えてみましょうか。断熱材のみで性能を上げようとすると厚みを増すとか、ウレタンなど高性能な材料を使うということになりますね。すると壁厚が増し熱を持つ量も増え、通気や透湿性能が悪くなってしまうこともあります。そこで、断熱+遮熱+二重通気という手法が出てきます。熱を断つことに放射熱を遮ることを加えます。暑い夏、車の中の温度が上がらないようにアルミのシートをフロントガラスに立てますよねぇ..それを住まいの断熱にも使うということです。加えて遮熱層の両側に通気層をつくることで、湿気はもちろん何らかで侵入した雨水や結露水、熱くなった空気をスムーズに排出することが可能となります。

    Photo_53  屋根の断熱+遮熱+二重通気

    Photo_52 Photo_50  壁の断熱+遮熱+二重通気

 もうひとつ窓を考えてみましょう...寒い冬、夜間窓からの熱損失はすごく大きいですね。そこで熱も逃げない(冬季)入れない(夏期)高性能なサッシが使われます。でも私たちの地域では昼間の日射取得もすごく大きいんです。昼間はたくさんの熱を取り入れ、夜になったら逃げないように断熱する。そして夏の強い日差しは閉めることでしっかりと遮る。障子やハニカムスクリーン、ルーバーやブラインドを組み合わせることで快適な窓が出来上がります。

    Photo_56 大開口からの日射取得
    Photo_55 紙貼り上下障子で断熱
    Photo_51 ブラインドシャッターで日射遮蔽
    Photo_54 ハニカムサーモスクリーンで断熱
 暮らしもいっしょで、大きなLDKがどかんとあるのではなく、小さな居場所があってそれらが斜めに重なり合い、その重なりはお庭や借景など外ともつながる...大きなひとつ屋根の下そんな重なりがひとまとめになり、朝日の差し込む食堂で家族がそろって朝食を..ってな感じで暮らしがされる。

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                 小さな居場所が重なり合い横にも縦にもつながる

 窓を開け閉めしたり、太陽の光を入れたり遮ったりとひと手間かける。柔らかい朝日を感じて目覚め、暖かみのある夕日を感じながら夜を迎える..とか毎日の生活の中に自然の時間の流れとともに快適に暮らす。指先で鍵を開け、引き戸を静かに閉める、小さなスイッチを押すとかトイレの水を流す...などなど小さななことですが、身体能力や人間の順応性を衰えさせないためには重要なことでは。ちょっと大げさすぎるかなぁ...

 なにかひとつの要素でがんばる!!ってのにはやはり限界があると思いますので、最近は合わせ技で住まいをつくり、暮らしてもらっています。




    

 

温暖地でつくる日本の家..その①

■住まいづくりに携わって..

 毎年何かしらのテーマをもって住まいづくりに取り組み始めて早15年が過ぎ、このあたりでいちど振り返りまとめてみるのも良いかと思い事例を紹介させていただくことといたしました。

 日本の住まいは環境と共存しながら、時代の変化に合わせながら生きてきました。オイルショックから断熱化(省エネ化)へ、躯体内結露から気密化へそしてさらなる断熱化へ、シックハウス問題から24時間換気&自然素材へ、大地震から耐震化へ、山の荒廃から木の家へ、そして温暖化からさらなる省エネへ。50年という短い時間に時代は流れ、住まいづくりも人の暮らしもめまぐるしく変化しています。

 私つくり手もそんな変化に合わせながら、高気密高断熱、高耐震、パッシブデザインや木の住まいなどなど新しい住まいづくりに取り組んできました。また、住まい手もどんどん便利になる生活と情報化社会のスピードに飲み込まれ暮らしています。

 そんな住まいづくりは耐震や断熱などが高度化され、つくり手も専門特化されてきていますね。暮らしも機械化され快適化されています。便利な暮らしはドアの前に立てば鍵が空き、部屋に入れば電気が付き、夜中でも昼間のような明るさで過ごすことが出来る。高度化され専門特化住まいづくりはどんな地震にもキズひとつない家を、どんな暑さ寒さにも影響を受けない室内環境を目指す。今はそんな流れでしょうか..

 でもちょっと待って..日本の家は、大地震には自らの荷重を落とし揺れから身を守り、太陽の光(熱)と木を燃やすことで暖を取り、また熱(光)を遮り風を通して涼を取る。壁や屋根は空気や湿気を通し躯体を守る。日没と共に部屋は暗くなり朝日と共に起き、窓の開け閉めにより暖涼を取る。そんな自然と乖離することのない、つくりと暮らしではなかったでしょうか。高気密高断熱にしたら通気や透湿がなくなっちゃうとか、昼夜の無い生活でのストレス解消のためのサプリメント...これでは本末転倒ですよね。

 短時間に進歩した高性能な住まいと便利な暮らしは、大切なものをどこかに置き忘れているのかもしれませんね。あまり難しいことはわかりませんが、つくりがあまり専門特化されることなく、構造や快適、省エネそして美しさなどが絶妙なバランスが保たれ、そこに住まう人の身体能力や人間のすばらしい順応性が奪われることの無い暮らしができる住まいが「エコ住宅」。きっとこれは今も昔も変わらないのかもしれませんが...

 

■温暖な地域では

 私たちの暮らす静岡県浜松市は、平均気温が16.3℃(Max20.8℃、Min12.7℃)、年の最高気温は39.8℃で最低気温は-4.9℃、平均風速が2.4m/sと、冬季には「遠州のからっかぜ」と呼ばれる風速が10m/sを超える西北西の風が吹きますが、年間の日照時間が2300時間程と恵まれた地域となります。降水量も2000mm程で全国ベスト10に入っている、そんな温暖な地域です。
 市街地中心から北へ車で1時間ほどのところには、天竜美林の山々が広がり天竜杉が豊富に使えます。また、中心街では首都圏と同様に密集地となりますが、車で5分10分走れば田畑もみられ、住宅用地は200㎡程度の区画であり駐車スペースやお庭もとれるような住環境となります。

 最近でこそ高気密高断熱と省エネをという声が聞こえてきますが、まだまだ本気モードが感じられないような、ちょっぴり温暖化ボケしたそんな地域かもしれません。もちろんこれは作り手も住まい手も共通したところです...

 こうした立地条件によっても「エコ住宅」の定義は異なってくるのでしょうが、私たち静岡県西部地方では、豊富な太陽の熱と光を取り入れ、天然乾燥された天竜杉を使い、外(お庭)ともつながりのある住まいづくりがエコ住宅の定義の根本のひとつだと言えるかもしれません。



天竜杉..

杉で住まいをつくる...

私たちの暮らす地域には、人工の日本三大美林の天竜杉がありますね。天竜美林は江戸時代から人工造林され、明治時代に金原明善の治水事業として植林が行われ現在に至ります。

建築材料として使うのが目的だったようで、材種は杉が7割、桧が3割ということです。成長が杉の方が圧倒的に早いので、生産性の面からこんな割合になったようです...

天竜杉は節が少なくまっすぐ伸びていて、赤味があるため水や白蟻に強いというのが特徴ですね。

私が杉を使い始めたのは15年ほど前になるでしょうか。新月伐採(現在では月齢伐採)と出会ったころです。新月伐採というのは、新月を過ぎ満月までの月の満ちてゆく期間の伐採をしないというものです。
「昔から月の満ち欠けによって地球そして生物はその影響を受けて今日に至ってきました、潮の満ち干き、人の出産やサンゴの産卵など...
そして、月は木にも関係しているのです。
木は月のリズムによってその生命活動を変化させており、最適な時期に伐採をすると、デンプン質が少なく、腐りにくい、カビにくい、狂いにくいといった特徴が得られ、色つやの良い、丈夫で良質な木材になります。実際、国宝「法隆寺」は月齢伐採の木で建造されたという言い伝えもあるとか...
実際に新月を過ぎ満月までの月の満ちよう期間の伐採をやめた結果、虫害や腐りが少なくなったと感じられたそうです。(天竜T.S.ドライシステムより)」 これが杉の家をつくるきっかけだったような気がします。

ところで杉にどんなイメージをお持ちですか? その昔、貴族の住まいや社寺は桧で、庶民の住まいは杉で...とそんなことから、杉は安普請とか弱いなどというイメージがついてしまったのかもしれませんね。桧の無節材から上小節、小節そして杉へ..そんなイメージといったところでしょうか。実は私も最初に杉を使ったときは、構造材のコストを考え、杉の特一等材を使ったような記憶があります。表面の節の有り無しで木材の価格は変わります。でも節があっても曲げ強さはそれほど変わらなかったり、中心部の年輪の幅についても極端な場合を除いてあまり影響はないともいわれています。

でも杉は、木目がやさしく、やわらかく、加工しやすい。赤味が多く粘り強く、水にも強く長持ちする。そして断熱性と調湿作用が他と比べて大きいというすばらしい長所があります。強度についても、桧と比べると少し弱いなどともいわれていますが、先ほども言いましたが天竜の杉は赤味がつよく強度(ねばり)があります。ヤング係数(曲げの強さ)が桧と同等の杉が多いんです...ただし、強度のばらつきが多いところがありますので、特に大きな力の掛かる材の選択には注意が必要なところはあります。
また、葉枯らしすることで、辺材と心材の水分がほぼ同じとなり全体が均質化します。このことで製材品の反りや曲がりが少なくなり、材の色艶がとても良くなります。

そんな地元の杉を使うことは、成長過程の気候風土とがあっていることや、微生物や細菌などにも免疫があることから木が長持ちすることにもつながります。

そんな天竜杉は、建物の長寿命や、室内環境を考えた場合には優れた性能を発揮してくれます。木の家を考えるとき 「天竜杉」 とうまくつきあってみませんか。

1/f 特性2..

ヒトの体内時計...

身体のほとんど全ての細胞の中に時計が仕組まれていて、染色体の中に6種類の時計遺伝子があって、それらが互いにバランスを取りながら体内リズムをつくり出しているそうです。

地球上のすべての生物は生体リズムを刻む時計を体内にもっていて、その時計に従って生命を維持している...ということはこの時計が狂ったら生命にとっては大変な危機になるということです。

生物の生体リズムは、人や動物、鳥や昆虫、植物や細菌はみんな同じリズムなんだそうです。そしてこのリズムの元になっているのが 「サーカディアンリズム」 日本語では 「概日(がいじつ)リズム」。これは太陽の動きを基準としたもので、地球の自転周期の24時間と公転周期365日に一致している。これはヒトの誕生から現在まで、ず~っと地球上では昼夜のの同じリズムがくり返されているのですから、一日のリズムや一年の季節のリズムがヒトの遺伝子に組み込まれていて当然ということになりますね...

この体内時計が司る様々な生体リズムも、そのすべてが 1/f 特性 でゆらいでいます。私たちの身体のリズムは、1/f 特性 をもつことで、さまざまなことに臨機応変に対応することができています。1/f 特性 のゆらぎは生命体の本質ということになりますね。

でも私たち現代人はそのことを意識できずに、自然のリズムを無視したことで起こる生体の不調を、人工的な化学物質いわゆる薬の力でごまかしているのが現状ではないでしょうか。なんだか無駄な努力に感じませんか...

朝規則正しく起きて朝日を浴びる..又は朝日を浴びて起き活力をもらう、夕日を浴びて身体を休息モードにしてくれる、そしてエアコンのように自然のリズムを無視する設備に頼ることのない住まい。自然のリズムを失っている社会生活でストレスを受けた体を本来のリズムに戻す場所..そんな住まいでありたいと思っています。

住まいには、1/f 特性 のゆらぎのある暮らしができるオペレーションが必要です。窓の開け閉めなど住まい手がひと手間掛ける必要はありますが、そのひと手間掛けて生活することが楽しく感じられる住まいづくり..オペレーションづくり..を大切にしましょう。

引用:ヒトの健康寿命を延ばす1/f の共生デザイン/落合俊也 より

1/f 特性..

1/f 特性ってご存知ですか...

私たちの身の回りには、規則正しく動いているものと、不規則に動いているものがあります。規則正しい動きは人工的になもので、電気エネルギーを使っているものはほとんど規則正しい動きがベースです。それに対して自然の動きは不規則なものだと思っていますよね。

この不規則には、「ただの不規則」 と 「調和のとれた不規則」 があるそうです。実は生命現象や自然現象の変動は、単なる不規則なリズムではなく、調和のとれたリズムで、その根底にはある数学的法則があるとされていて、それが 「1/f 特性」 といわれるものだそうです。

この 「1/f 特性」 が私たち人間が ”心地良い” と感じる共通の原理だということです。

「星のまばたき」 「炎の動き」 「風のうごき」 「木の年輪や木目」 「職人さんの手仕事」 そして 「ヒトの体内時計」 も 1/f 特性 をもっているようです。星のまばたきや風のうごきなどはなんとなく理解できますよねぇ...でも、木の木目や手仕事にも 1/f 特性 のゆらぎがあったんですね。

大工さんの手仕事では、手ノコで切ったりカンナで仕上げた面にはこの”ゆらぎ”があり、電ノコや電気カンナでの仕上げ面では出ないそうです。左官さんが仕上げた壁も分析してみると、この”ゆらぎ”が出ているそうで、素人の塗った壁ではこの 「1/f 特性」 はないそうです。なんだか残念ですが...

現代の生活では、身の回りには電気で動くものでいっぱいです。人工的な電磁波にかこまれた生活の中に、心地良いと感じるゆらぎ特性をつくり出すことで、人工的なリズムが打ち消され、自然のリズムあふれる住環境になればと、そんな思いから 「木の家」 を 「手仕事でつくる」 ことをおすすめします。

「ヒトの体内時計」 についてはまた次に...

引用:ヒトの健康寿命を延ばす1/f の共生デザイン/落合俊也 より

空気を暖めない暖房2..

そこで登場するのが ”輻射熱を使った暖房” です。

輻射熱というのは遠赤外線です。この輻射熱というのは地球上のあらゆる物質が例外なく吸収放出しています。放射熱は自分より温度の低い物体へものすごいスピードで飛んでいきます。(電磁波は熱ではありませんが、空間を伝って伝達先の物体にあたると、電磁波の振動エネルギーにより伝達先の物体の分子が振動して熱を発する。というのが熱放射で、よく知られているのが電子レンジです。)

焚き火の経験ありますか?冬の風のある寒い日に焚き火に当たると暖かい。でも煙がけむいから風上に行きますよねぇ...でも火の暖かさは身体を温めてくれます。エアコンなどの空気で暖める暖房では風上に暖かさが来ることはまずないでしょぉう...これが輻射熱です。

輻射熱を使った暖房って?

実は昔からあるこたつやハロゲンヒーターなども輻射熱をつかった暖房器具です...ただエネルギー消費量が大きいのが難点。
そこで最近使われているのが、ヒートポンプを使って温水をパネルに流すクール暖や薪ストーブ・ペレットストーブです。これらは廻りの空気も伝導や対流で暖めますが、大部分は輻射熱(遠赤外線)です。先程もお話ししましたが、輻射熱は自分より温度の低い物体へすごいスピード(電磁波早さは秒速30万km)で飛んでいき、天井や壁、床の温度を暖めます。もちろん人の身体も温めます...

天井や壁、床の表面温度が暖められますので ”体感温度” も上昇します。

体感温度というのは、各表面温度と室温をたしたものの平均。(もちろん風や湿度などの影響も考慮した計算をしなくてはいけませんが、今回は単純に冬の室内で風はいらない環境でということで...)
たとえば、天井20℃、壁18℃、床15℃、室温22℃のとき、(20+18+15+22)/4=体感温度18.75℃ということになります。たとえば薪ストーブを使ったら輻射熱の効果で天井や壁、床の表面温度がすべて20℃になります。すると体感温度は、20.5℃となります。体感温度18.75℃で快適ですよ..ということならば、天井や壁、床と室温をこの18.75℃という設定温度で暖房すればいいことになりますね。

ということで、空気で暖める時よりも低い室内温度設定が実現できますし、温度ムラもなくなります。また開放型の暖房器具のように、室内空気が汚れることもありませんし、温度も低く設定できる分湿度が下がるのも防ぐことができそうです。

そんなことから、「空気を暖めない輻射熱を使った暖房」 考えてみたらいかがでしょう...

空気を暖めない暖房..

「エアコン使うと乾燥する..」 ってよく聞きますね。そのために加湿器を使って調湿するひとも多いようです。今回は暖房と乾燥に注目しながら身体にいい暖房を考えてみましょう...

まずは、どうして暖房すると乾燥するんでしょうか?

エアコンで暖房することで室温が上がります。室温が上がることで飽和水蒸気量も上昇します。でも室内の水蒸気量に変化はないので 「相対湿度が下がる」 ということになり、それで乾燥すると感じられるわけです。

ところで、飽和水蒸気量とか相対湿度とかってなんぞや?

空気はそれぞれ水分を含むことができる量が決まっています。もうこれ以上水分を持てないというのを 飽和水蒸気量 と呼びます。ここを100%として、その空気の中にどのくらいの水蒸気を含んでいるのかを%で示すのが 相対湿度 と呼ばれています。
これに対して 絶対湿度 という言葉をよく耳にしませんか。こちらは、空気の中に含まれている(持てる)水分の量を示しています。

先ほどの話しの繰り返しですが、エアコンで暖房することで室内の空気が暖められ室温が上がります。室内の空気の温度が上がることで、この空気が持てる水蒸気量も上がります。
たとえば15℃の空気が持てる水蒸気量(絶対湿度)は約13g/m3です。このとき実際にその空気に含まれている水蒸気量が6.5g/m3とすると、13g/m3の半分ということで 相対湿度50% ということになります。
この状態のままでエアコンで空気の温度を20℃まで上げたとします。20℃の空気が持てる水蒸気量は約17g/m3(絶対湿度)。この時の水蒸気量が6.5g/m3のままですから、6.5/17=0.382=38.2%ということになります。相対湿度50%から暖房することで38.2%になったことになります。これが湿度が下がったということになるわけです。

人は乾燥しているというのを、空気に含まれる水蒸気量の変化で感知しています。ですから空気中の湿度が下がることで、粘膜などの水分が乾燥しやすくなり、のどが渇いたり皮膚の乾燥が起こるということのようです。

これが乾燥する仕組み...

ところで、石油ファンヒーターやストーブはどうなの?

石油ファンヒーターやストーブは、室内に燃焼空気をそのまま排出する開放型といわれる機器になりますね。こちらもエアコン同様に室内の空気を暖めますので、相対湿度は下がることになるのですが、燃焼によって CO2 と 水蒸気(H2O)が発生して空中に放出されるので、エアコンを使った時よりも相対湿度の下がりは少なくなると考えられます。

燃焼による水蒸気の発生量はというと、おおよそ 300g/h 程度で、加湿器がだいたい500g/hということですのでかなりの水蒸気量ですね...
そういえば、石油ファンヒーターなどで暖房すると窓の結露がすごい!!ということを感じたことありませんか。

エアコン+加湿器や石油ファンヒーターなどで暖房して乾燥を防いだとして、夜寝る時に暖房を切ったとします。先ほどお話しした室温を暖めるのと逆の効果が発生します...

加湿器や燃焼による水蒸気を含んだ空気の状態を、温度22℃で水蒸気量10g/m3だとすると湿度50%。この状態から暖房を切って室温が12℃まで下がったとしましょう。12℃の空気が持てる水蒸気量は約10g/m3ですら相対湿度100%ということになります。もうこれ以上水蒸気を持てない状態になり、窓際などの12℃より温度が低い部分では、水蒸気があふれた状態になり 結露 ということになるんです...

これは窓際ばかりではなく、タンスの裏側や断熱材のすき間などでも同じ状態になるということになります。

だから ”空気で暖房するのはよくない”  といえますね...

つづく

2019年7月
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